
辻村深月 つじむらみづき 朝日文庫 2022年
最後に涙が出た。
事件発生後、様々な人を知り交わるなかで、自分自身に深く向き合った二人。
自分の傲慢さを恥じたり、主体性の無さを悔やんだりしながら、孤独になっていく二人。
しかしその過程で、自分の心の表層を覆っている「傲慢と善良」を引き剥がし、本当の自分、自我の核に気付いた二人。
そのような二人が最後に再びお互いと一緒に生きたいと思った瞬間に涙が出た。良かったな。二人ならばいたわりあって幸せになれるよ、という暖かい気持ちに包まれた。
人を愛すること、結婚することの下地として、見栄や世間とは関係ない、たった一人の人間としての意思と感情が何よりも重要だということを改めて確認するラブ・ストーリーだと思う。
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