
思ひ出の記 小泉節子(小泉セツ) ハーベスト出版 2024
小泉セツ(1868-1932)が本名。小泉八雲(ラフカディオ・ハーン;1850-1904)の妻。
松江藩(島根県)の士族小泉家に生まれ、23歳のとき(1891)に松江に英語教師として赴任したハーンのところに住み込み女中として働くようになり、事実上の結婚をした。
「思ひ出の記」は、小泉セツがハーンとともに過ごした13年8か月(1891-1904)の日々を、夫の没後に回想した記録だ。小泉セツが話し、三成重敬(みなりしげゆき)が口述筆記した。三成はハーンのアシスタントだった。
ラフカディオ・ハーンは、「怪談」の作者として有名だが、彼の再話文学の捜索に欠かせない存在だったのが、妻の小泉セツだ。
セツは日本語が読めないハーンに、昔話や伝説を語って聞かせた。それをハーンが文章にし、国内外に発表した。
<補足>昔話や伝説など、既存の話に文学的表現を加えて物語を紡ぐことを「再話」という。ラフカディオ・ハーンは日本でたくさんの、生かし話や伝説を集め、その物語に文学の魂を吹き込んで、英語の作品にした。これらのハーンの作品は「再話文学」と呼ばれ、高く評価された。
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