


世界遺産。鑑真和上が759年に創建。律宗総本山。
鑑真和上(688~763)は中国揚州で誕生、揚州大明寺で戒律を講義していたが、日本からの熱心な招きに応じ渡日を決意した。5度の航海の失敗を重ね盲目の身となられた。753年に6度目の航海で遂に来朝を果たされた。
金堂は豊かな量感と簡素な美しさを兼ね備えた天平様式、正面に並ぶ8本のエンタシス列柱は、遠くギリシャの神殿建築技法がシルクロードを越え、日本まで伝来したかのように感じさせる。
御本尊は廬舎那仏座像で、右に薬師如来立像、左に十一面千手観世音菩薩立像が配される。本尊の脇には梵天と帝釈天が従い、四隅には四天王立像が諸尊を守護している。
金堂内の九尊はすべて国宝(8世紀から9世紀の作品)。
国宝・鑑真和上座像は一般には公開されておらず、御影堂に置かれている。御影堂には東山魁夷が奉納した障壁画(襖絵)がある。
2013年に和上のお姿を写した「御身代わり像」が作られ、開山堂にて一般公開されている。「御身代わり像」は、奈良時代の脱活乾漆技法を忠実に踏襲した模造で、彩色まで施した。
寺の奥には、鑑真和上御廟もある。
井上靖の小説「天平の甍」でモチーフとなった唐招提寺の屋根瓦は、2000年~2009年に10年間かけた金堂の大修理の際に、約4万4千枚の瓦の8割を新しい瓦に交換した。その際に、国宝であった二体の鴟尾(しび)も新しいものに交換した。奈良時代および鎌倉時代の鴟尾は、新宝蔵に保管・展示されている。
私がお参りした2025年GWには、御影堂供華園で瓊花(けいか)が特別公開されていた。瓊花は鑑真和上の故郷である中国・揚州の花。隋の皇帝煬帝が愛した花として中国でも大切に保護されてきた名花。小さな白い花のまわりにアジサイのような「がく」をつける。
唐招提寺には、ほかの寺にはない静かな落ち着きがある。それでいて、緑がとても多く花も美しい。



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